6月に「ワールドティーエキスポ」がラスベガスにおいて開催されました。アメリカ最大のお茶専門の業者向け展示会となります。22か国から約260社の茶商他さんプライヤーが出展しました。この展示会も昨年からInformaという展示会主催者に運営が変わりましたが、現場では来場者の質が良くなってきているという声を数人から聞きました。鹿児島茶業会議所も昨年より出展し「鹿児島」、「かごしま茶」を広める活動をしています。まだまだ名前を知らない来場者が大多数ですが、しっかりとした草の根活動ができればと思っています。 アメリカやモンゴルから技術研修をして欲しいという声もありました。 また、オンライン市場の定点観測で1年以上トップの抹茶業者も出展していました。
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スペシャルティ・コーヒーという言葉は、1974年、コーヒー会社の経営者でスペシャルティ・コーヒーの草分け的存在であったエルナ・クヌッセン(Erna Knutsen)が使用したのが最初である。彼女はスペシャルティ・コーヒーを特別にするものは何かを定義するため、業界全体での取り組みを開始した。その後20年をかけてスペシャルティ・コーヒー協会(SCA)が出した結果では、その定義には、産地、気象条件、栽培・生産処理技術、選別が適正であることが求められた。つまりは、消費者が美味しいと評価し、対価に満足する品質であるという認識をもつことが重要であるとした。その努力が結実し、消費者の一人当たりのコーヒーの消費量は過去10年間で30%増加、世界中で3000億ドルに売り上げを伸ばしている。米国内でコーヒー市場におけるスペシャルティ・コーヒーの占める割合は2010年の40%から増加の60%であった。 高品質で消費を促進 米国でのコーヒーの消費量は、1946年のピーク時と比較して過去70年間で半減している。またコーヒーは1995年に1人当たり20ガロン減少したのに対し、炭酸飲料は1998年に1人当たり52ガロンを上回る最高消費量を記録した。炭酸飲料はそれ以来急激な減少を続けてはいるものの、依然として家庭での消費量は水に次いで2番目に多い。一方コーヒーは、最近になってようやくより良い味わいのコーヒーを好む人が増加したことにより、消費を伸ばしている。消費者は、大量消費型の安いコーヒーに比べ、スペシャルティ・コーヒーの味の良さに目を向けるようになり、その品質にプレミアム価格を支払いたいと思うようになってきたのである。 大量消費型のコーヒーが1パウンド当たり1ドル25セント、1杯2ドルで販売されるのに対し、スペシャルティ・グレードのものはコスタリカやパナマで今夏、1パウンド当たり600ドルから800ドルで競り落とされた。ワインが稀に1杯何千ドルで販売されることと比較すると、たとえ、スコア96+という高評価なコーヒーであっても、1杯当たり15ドル以下であり手ごろ感がある。 スペシャルティ・ティーとそうでないものを分けるものとは何かを考えるとき、消費者が茶を比較するのはコーヒーほど容易ではない。この質問にカリフォルニア州にあるG.S Haly社のマイク・スピレーン(Mike Spillane)が以下のように回答している。「それは複雑なことである。スペシャルティ・ティーとそうでないものを分けるものが何か、という問題を浸透させるために主力となることが3つある。ひとつは、特別な何かとして宣伝されるすべてのものを大衆が熱意をもって受け入れること、ふたつ目は、付加価値、独創性、品質を保つこと、そして若い世代や情報不足の業界でのマーケティングの影響を理解すること、である。」
スペシャルティ・ティーの定義を統一する取り組みは有意義なものである。1999年には、スペシャルティ・コーヒーを前日に飲んだ米国成人は9%であったが、2018年にはすべてのコーヒーの半数以上(59%)にのぼった。また、2018年1月に、前日に茶を飲んだ米国成人は約半数の(48%)であった。その調査では茶の内訳がプレミアム、スペシャルティ、グルメなどに分類されていなかったが、ほとんどはアイスティーと大量消費型のティーバック入りの製品であると思われる。何がスペシャルティ・ティーを特別なものにするのか、を定義することは、最高級の茶の消費量を増加させることにつながるだろう。 原題:What Defines Specialty Tea? (抜粋) スパイスと茶の小売店であるスパイス&ティー・エクスチェンジがアリゾナに新たに15店舗のフランチャイズ店を出店する計画を発表した。
スパイス&ティー・エクスチェンジは『より彩り豊かな経験を創造し分かち合うこと』をミッションに掲げ、食べ物やお茶、そしてカスタマーサービスに情熱を注ぐコミュニティ志向のフランチャイズパートナーたちを従来魅了している。また同社は地元の食通や、年間を通じ観光客でにぎわう市場でも成功を収めており、アリゾナを同社の成長のための魅力的な土地にしたい意向だ。スコッツデール、フラッグスタッフ、チャンドラー、レイク・ハヴァスは現在のターゲット市場であり、さらに追加する予定である。 およそ5人に4人の茶を飲む米国の消費者(ミレニアル世代の87%を含む)と、新鮮で味わい深い家庭料理への流れが、スパイス&ティー・エクスチェンジの継続的な成長を支えている。また経験型のショッピングの人気の高まりを利用し、膨大な種類のスパイスや紅茶、調味料、グルメギフトを自由に探索できるようにすることで、顧客は感覚的な経験を楽しむことができる。店員はスパイスを手作業でブレンドしてくれる。また最近では、30種類以上の独特なお茶を楽しめるティー・バーの提供をアメリカの多くの地域で開始している。 各店舗での取り扱い商品 ・140種類のスパイス ・85種類の手製ブレンド ・30種類以上の外国産の茶 ・世界中の天然スパイスと塩 ・ギフト用グルメ商品とアクセサリー フランチャイズ担当は以下のように述べた。「スパイス&ティー・エクスチェンジの顧客は、夢中になることができ、引き込まれるショッピングの体験を高く評価している。なぜならその体験は、購入した商品に対してより高い価値を与えることになるからだ。 顧客はごく自然に、われわれの独特な雰囲気と味わい深い香りに引きつけられている。」 同ブランドのフランチャイズシステムは店舗ごとにさまざまである。フランチャイズ加盟店オーナーは、若い起業家から熟練した企業の役員、中小企業の経営者やフランチャイズのベテランまで幅い。スパイス&ティー・エクスチェンジはフランチャイズ加盟店オーナーの新人研修に、幅広いトレーニングを行い、業界のリーダーからの支援、また小売りとオンライン売り上げから得た複数の収入源からの財政支援などを含むユニークな条件をフランチャイズ本部として、提供している。 原題: The Spice & Tea Exchange Infuses Arizona with Plans to Open 15 New Franchises (抜粋) プラスチック製ストローを廃止するニュースが相次いでいる。米国の主要都市で初めて禁止を発表したシアトルをはじめとし、サンタバーバラで2019年、ディズニー2019年、サンフランシスコ2020年、スターバックス2020年、台湾2030年、また時期はさまざまであるが、アメリカン航空、ハイアット、マクドナルド英国、アイケア他、多数の多国籍企業でも禁止措置の導入が検討されている。この禁止は漫画や冗談のネタとしても取り上げられ、伝統か革新かという文化論争を巻き起こし、ビジネスの混乱を招いる。『ボバ茶(タピオカミルクティー)』の販売者にとって、この問題は深刻であり、「危機」とタグ付けされている。 ボバ茶のようにストローが商品のデザインの一部となっている飲み物は他にはない。カップの底にあるタピオカの粒を吸い上げるように飲むことが特徴のボバ茶は、通常は3/4インチの幅の広いストローが使用され、先が斜めにカットされているデザインはカップの蓋部分のプラスチックフィルムに突き刺しやすいようにできている。サンフランシスコにあるボバ茶店Steep Creamery and Teaの共同オーナーであるアルビン・ユー(Alvin Yu)は次のように述べる:「ボバ茶は茶とパールを一緒に吸い上げるもので、粒はタピオカもあればアロエ・ゼリーを使ったハーブティーもある。そしてそれはすべてストローが必要である。」フィルムの蓋がついていることで、飲み物とタピオカ粒を液体をこぼさずに混ぜることができる。 ボバ茶の愛好家の中には、ストローなしで飲むというアイデアに強く反応する者もいる。 「ボバ茶をカップに注いで、スプーンか何かを使用しなくてならないなんて、 誰もそんなことをしたくない。ストローで飲みたい。」「ストローの鋭い先をプラスチックの蓋に突き刺すと、ボバ茶を飲んでるという感じがする。」などの意見がある。 全米でもリベラルな州のひとつであるカリフォルニアのサンタ・バーバラではプラスチック製ストローを提供した場合1000ドルの罰金か6カ月の拘留という罰則を設けた(現在は見直し中)。このことも、冗談や文化戦争に拍車をかけた原因とみられる。
だがボバ茶はプラスチック問題のごく小さな一部にすぎない。環境被害の全体像は深刻である。中国は年間880万トンのプラスチックを海洋に放出している。ほかの4つのアジア諸国の合計と同等量にあたる。対し米国の値は低く、30万トンであるが依然として大きい数字であることに変わりはない。サンフランシスコとハワイの間に伸びる太平洋ゴミベルトは80%がプラスチックでできたごみの塊であり、サイズはテキサス州の2倍の大きさである。 米国だけで1日5億本の使い捨てストローが廃棄され、それらが分解されるまでに200年がかかると言われる。海洋廃棄物の中で11番目に多いのがプラスチック製のストローであるが、そのサイズと形状が鳥やカメなどの生態に脅威となっている。 この禁止令に異議を唱える側は、海洋に投棄されたプラスチックのうちストローは0.02%であり、米国は全体のわずか1%しか直接責任を負わないと主張する。 結論1: 始まりにすぎない この禁止は変化の兆候であり、今後こういった条例は増加していくと予想される。プラスチック製の買い物用のレジ袋のように、(年間1兆、1パーセント以下のリサイクル率、平均使用時間わずか12分)社会、地域、最終的には国の法律として対策を講じるよう圧力をかけてやがて,プラスチック製ストローの使用は消滅していくであろう。 結論2: 供給のニーズはすぐに満たされる 供給の問題は短期間で解消され、1年後にはニーズを満たしている見込みである。この禁止条例は革新も促進する。ボバ茶危機に最も関係することで言えば、ひとつは他の食品と同様に1日で堆肥化を始める海洋環境に優しい海藻ベースのストローがある。紙製のストローは、ボバ茶の特別な需要をターゲットにしている。 だが2つの問題点がある。ひとつは従来のストローの在庫処理におおよそ4か月がかかること、そしてコストの問題である。一般のプラスチックストローは1~3セントのコスト、紙製ストローは7~9セント、持ち運べるメタル製の折り畳みストローはケース付きで20ドルである。耐破損性ガラス製ストロー(6ドル)、竹製ストロー(2ドル)は、アマゾンで高評価を得ている。 結論3: ボバ茶の価格はやや上昇 ボバ茶の価格はやや上昇する見込みだ。代替のストローが量産されるようになれば、追加料金は20セントもかからないであろう。だがサンフランシスコの200~250店あるボバ茶店の中には年間200万本のストローを使用する店もあるため、ストローにかかる10セントが20万ドルの違いを生むことになる。つまりこれは些細な出費の増加ではなく、明らかな障害であり、ビジネスの不確実性の根源となると言える。 では、次の議題として、日本の木製の使い捨て割りばしはどうなのだろうか? 原題:San Francisco Straw Ban Prompts Boba Crisis (抜粋) オーストラリアでは、すでに200万人の消費者が使い捨て容器の使用をやめることを宣言しており、「リフィル」(詰め替え)革命は勢いを増している。 オーストラリアの茶専門会社オヴィオ・オーガニック(Ovvio Organic)は、「プラスチックフリー」の7月(Plastic free July)の運動を支持するために、堆肥化できる詰め替えパックと補充可能なディスペンサーを開発した。 オヴィオ・オーガニックは、持続可能で、堆肥化可能な詰め替えパックを採用した最初の茶会社のひとつである。創始者のアンティア・クーロウロス(Anthia Koullouros)は、物流や財政的な課題は、持続可能な選択と向き合うことを避ける理由にはならないとし、安全で消費者基準を満たす、質の良い代替品があると述べている。 同社は持続可能な選択に関するさまざまな取り組みにおいて、茶葉を入れるための永久的に利用可能な缶の容器を使用する、持続可能な植物由来の材料でできた堆肥化可能な詰め替え袋を使用する、リフィルルームという補充専用の部屋で、各自の容器に好きな茶葉やハーブ、スパイスなどをまとめて補充できるようにする、などを行っている。 リフィル」(詰め替え)革命
クラフトビールはグラウラー(再使用できる持ち帰り可能な瓶)で販売され、ワインは紙の箱入りで販売される。酪農家はかなり前からディスペンサーに使用する使い捨ての衛生袋を提供し始めるなど、これまで食品サービス業界で取り入れられた手法が一般家庭のキッチンにおいても普及するようになった。 装飾された缶の容器に茶を詰め替えることは一般的に行われており、頻繁に補充される日用消耗品である茶においては実用的である。ブランドのメッセージはあまり重要ではないので、詰め替え包装はより環境にやさしいものにできる。 「プラスチックフリー」の7月(Plastic-free July) 「プラスチックフリー」の7月とは、使い捨てのプラスチック製品の使用を断とうという、オーストラリアで始まった運動である。 10人中6人以上のオーストラリア人が、食料品やその他の商品を入れるためにエコフレンドリーな多用途バッグを使用している。 プラスチック製のレジ袋、またパック包装された野菜や果物の購入をやめ、ボトルの水を購入する代わりに水を詰め替えることは、個人が選択できる重要な一歩である。 米国人の大多数は食料品店で茶を購入し、カフェやコーヒーショップでパッケージに入った茶を購入する人はわずか7%にすぎません。ジャニス・グローバー(今年のワールド・ティー・エキスポでマーケティング、新商品開発、営業を担当)は「スペシャルティ・ティーは隙間市場において非常に魅力的なカテゴリーでです。」と説明します。 小売業者は、店舗に刺激と世界的のトレンドを取り入れようとスペシャルティ・ティーを利用します。消費者は常に新しい味と種類に惹かれ、茶の購入は漸増的です。 小売業者は常にマーケットバスケットを増加させる方法として何かユニークなものがないかと目を光らせます。茶の販売をきっかけに、消費者はクッキー、クロテッドクリーム、ペストリーなどを追加購入し、合計購入額は増加します。 茶の消費者がひとたびオレンジペコーにとどまらなくなれば、より大きな価格弾力性が生まれます。茶においては、調味料に生じるような直接的な価格の比較をしません。食料雑貨店がスペシャルティ・ティーの導入に積極的に取り組んでいたとしても、商品を棚に並べるのは、予想以上に困難です。 マリア・ウスペンスキーによって設立されたザ・ティー・スポットは、スペシャルティ・ティーで成功した一例です。同社は12年をかけ、米国専門小売市場での厳しい試練と、分厚い販売業者層をうまく突破しました。コロラド州ボルダーに拠点を置く同社は、2004年に会社を設立した直後に食料品店に進出しました。 ウスペンスキーは、「我々は総じてあまりにも大きく、そして急速すぎる成長を求めました。」とし、結果的にその路線は失敗し、彼女は小売戦略を再考しました。それ以降、彼女は卸売り業者の顧客の開発とオンラインビジネスの構築に集中しました。そして2年前、10SKU(最小在庫管理単位)のオーガニック・ティーで専門小売業者との業務を再開しました。 ![]() 2017年にドイツの市場リサーチ会社スタティスタが行った顧客アンケートによると、米国の茶の消費者のうち80%がスーパーで茶を購入しています。加えて21%がディスカウントショップで、12%がデパート(大型小売店舗を含む)で購入しています。わずか14%がオンラインで(うち10%はアマゾンで)、1%がカタログ通販を利用しています。
1980年代、グローバーは、グレート・アトランティック&パシフィック(A&P)・ティーの商品開発マネージャーでした。当時、彼女は500SKUを導入し、米国における初のプレミアムブランドを世に送り出しました。近年、彼女は専門食品業界を成功に導くために必要な主要規制、物流管理、表示義務、価格設定、販売促進戦略、販売手数料について熟知しています。 また輸入業者、販売業者、卸売業者、仲介業者、小売業者の収益点や、小売りの役割、サービスなどを理解することで、カフェの商品を棚のトップへ移行することが困難だとするブランドを支援することが可能になります。グローバーは、米国への参入を成功させるためには、包括的な初期計画を立てることと、この計画を具体化する戦略を打ち立てることが必要だとします。 商品の多くが重複し、選択肢にあふれた棚の並ぶ通路で、トレンディなブランドは際立ちます。 また彼女は「私の経験では、新しい魅力的で創造的なパッケージ化されたスペシャルティ・ティーのためには店はスペースを作ります。」と述べました。 「昨年のワールドエキスポの出席以来、講演者として戻ってくることを嬉しく思います。新しい味との出会い、そして茶と茶の小売に関心のあるコミュニティーに焦点を置く新しいサプライヤーに出会えることを楽しみにしています。」 原題:Tea Growth in Specialty Grocery (抜粋) デニッシュで有名なデンマークの首都コペンハーゲンですがここでも抹茶の広まりを感じました。訪問した抹茶専門店をはじめカフェ、ティーショップなど市内に20件前後のお店がありました。美味しいからという嗜好よりも健康にいいからということで人気があるようでした。スーパーなどを見てもカルフォルニアに負けず劣らずナチュラルで健康志向というトレンドを強く感じました。
World Tea News(ワールド・ティー・ニュース)は、お茶業界で影響力のある人物に次の質問をしました: 新規顧客を獲得するために業界が必要としていることは何ですか? お茶を作り、提供し、説明し、人々にあなたのお茶に関する刺激を与える、、、それは、「お茶の言葉」を広めるためのパワフルで簡単な、そして手ごろな方法です。ツイッター、インターネットへの投稿や、書き込みを続けることもできますが、店員の笑顔や丁寧に入れたお茶で獲得した新たなファンに勝るものはありません。 --ブライアン・キーティング ブレンドマスター、セージグループ創立者 私のお茶に関するマーケティングの授業では、あらゆる世代にとってお茶をより楽しめるよう、お茶の購入やお茶を入れることを、過度に複雑、また儀式的なものに見せないようにすることについてよく話します。私たちが力を入れて取り組んできたことは、味の微妙な差異に魅了され、時間とお金を費やすことのできる食通を対象にしたマーケティングです。しかしこのやり方は、商品販売のターゲット層を大幅に狭め、産業の主要な収入源である広域市場をサポートしていません。 --バベット・ドナルドソ インターナショナル・ティー・シッパーズ・ソサイエティー社長、作家、ティー・エデュケーター 教育、教育、教育 --リチャード・エンティコット メリディアン・トレーディング・カンパニ―経営者 教育、教育、教育! --マリア・ウスペンスキー ザ・ティー・スポット創立者兼会長、Cancer Hates Teaの著者 タイプ別のターゲット層にそれぞれ何が推進力となっているかをより理解すること、またその層がどのような味を求めているのかを分析する必要があります。会社がお茶を販売する際、その健康上の利点を述べてはいけないので(少なくともFDAに罰せられる恐れを無くしては)、影響力と知識を持ち、素人用語でお茶と健康について広められる別のお茶の専門家を必要としています。このことはお茶だけでなく、お茶として販売されているすべての優れたハーブや薬湯にも言えることです。 --スコット・スヴィアラ フラ・コンサルティング経営者 ハイテク化するお茶の入れ方は引き続き魅力的ですが、職人技や手で入れるお茶に代わるものはありません。高級カフェでのスロー・バーの増加は、スロー・バー・ティーに完璧な「流行り」をもたらします。技術か伝統かという点において飲料界では十分な「これ対あれ」の戦いをしてきました。それらはお互いに知識を与え合いお互いに進化して共存することができるようにするべきです。また彼らはしばしば全く異なる顧客ベースでサービスを提供します。これほど多くの異なるタイプの顧客がいるのにも関わらず、なぜ一つのものを、もう一方のものに置き換えなければいけないのでしょうか? --スゼット・ハモンド ビーイング・ティー創立者、ティー・トレーナー兼コンサルタント 魅力的なグルメ体験としてだけではなく、お茶の利便性の面も高めていかなくてはなりません。コーヒーに対抗する飲料の選択肢としてお茶の魅力を増す必要があります。お茶の健康的側面に基づいて成長を続けることは、トレンドには不可欠でしょう。
--ティム・スミス ザ・ティー・スミス経営者 食品・飲料大手はそのブランド力が注目を集めますが、ネスレ (900億ドル)、ペプシコ (630億ドル)、コカ・コーラ (420億ドル)、クラフト・ハインツ(260億ドル) など巨大な利益を生み出すためには、流通力が侮れません。 先週、ネスレは米スターバックスから、スタバ店舗内の商品を除く、無期限の商品販売権を取得することで合意したと発表しました。 英ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)によると「ネスプレッソ」「アゼラ」「ネスカフェドルチェグスト」「ネスタライン」を所有するネスレは、コーヒー業界の世界的なリーダーであり、市場のおよそ28%を占めています。同社のコーヒー販売における年間売り上げは170億ドルで、世界上位の茶の卸売業者でもあります。 ナショナル・コーヒー協会(National Coffee Association)によると、スペシャルティ部門のファンは多く、米国成人のグルメコーヒーを消費する割合は41%に達しています。(1999年では9%)米国コーヒー市場での小売り価値は、480億ドルとされ、スペシャルティコーヒーは約55%のシェアを占めています。 ドイツの投資会社JABホールディングは、食品・飲料を強化し、過去5年間でアメリカと西ヨーロッパの企業を中心に10件以上を買収、計300億ドルを投資しました。レイマン家が経営する同社は、これまで同社の基幹資産であったジミーチュウ、バリーなどの高級ブランドを手放し、日用消費財(FMCG)に注力する方針です。 主な買収先は、コーヒー、紅茶関連の企業、清涼飲料メーカーのドクター・ペッパー・スナップル(Dr Pepper Snapple)、ドーナツ、パンやベーグルのチェーン店などです。主流企業のキューリグ(Keurig)、パネラ・ブレッド(Panera Bread)、クリスピー・クリーム・ドーナツ(Krispy Kreme)、アインシュタイン・ブラザーズ・ベーグル(Einstein Bros Bagels)は、カリブ・コーヒー(Caribou Coffee)、 インテリジェンシアコーヒー(Intelligentsia) 、スタンプタウン・コーヒー(Stumptown Coffee)と統合します。茶会社の主な買収先はマイティー・リーフ(Mighty Leaf (米国)、ピーツ・コーヒー&ティー(Peet’s Coffee & Tea)、ピックウィック・ティー(Pickwick Tea (欧州)です。 JABがこの5年間で行った積極的な企業買収の結果、ケンコ(Kenco) ダウ・エグバーツ(Douwe Egberts)エスプレッソ・ハウス(Espresso House)などによりコーヒー業界の世界シェアは合計で20%にのぼり世界第2位となりました。 提携がもたらす相互利益 JABの市場での急成長を見たネスレは、先週、米スターバックス(年間売上高220億ドル)との提携を発表しました。71億5千万ドルの契約により、流通力のさらなる拡大が見込まれます。500名の従業員はネスレに加わり、シアトルで業務を行います。スターバックスはヘインツ社との提携を解消して以来、流通パートナーを模索していました。ネスレは、JABが世界のコーヒー市場の4分の1近くを支配していることを当然ながら懸念しています。 ネスレのウルフ・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は、「今回の取引は我々の高成長部門であるコーヒー事業にとって重要なステップになります。コーヒーの世界でスターバックス、ネスカフェ、ネスプレッソという3つの象徴的ブランドを結集します。スターバックスとパートナーになることができ光栄です。」とコメントしました。 スターバックスは、年間売上高の10%にあたる24億ドルを小売販売から得ます。小売商品にはパック入りのコーヒーや、タゾ・ティー(ユニリーバに売却された)が含まれます。また、ボトル入りコーヒーの販売におけるペプシコとの共同操業協定からの収益も含まれます。スターバックスの広報によると、契約には含まれていないものは、店舗内で扱われる小売商品のほかに、レディー・トゥー・ドリンク(RTD)のコーヒー、紅茶、ジュースなどです。 JABにとっての宝は、スタンプタウンコーヒーです。同社は爆発的な広がりを見せたコールドブリューを初期に導入した企業のひとつです。過去3年間で実質ゼロであった米国成人によるコールドブリューの消費率が、6%に上昇したことを明らかかにしました。これに対抗して、ネスレは国内最大の有機コールドブリューコーヒー製造会社のカメレオン(Chameleon)と、インテリジェンシアに匹敵するブルーボトル(Blue Bottle)を買収しました。 JABがドクターペッパーの買収に1株103ドル(187億ドル)を支払うことを厭わなかった背景には、その流通網があります。ドクターペッパーは世界第5位の清涼飲料会社で、歴史は1885年にさかのぼります。2016年にJABが140億で買収したキューリグの1部門として運営されます。 世界最大手のネスレは米コーヒー市場で、シェアは5%と出遅れています。挽いたコーヒーと豆のコーヒー、ボトル入りコーヒー、カプセル入りコーヒー、そして新たに入手した高級コーヒー店チェーンのブルーボトル(7億ドルで購入)を提供します。ネスレはまた市場価値120億ドルとされる米国の茶市場でも大きなシェアを獲得する見込みです。 スターバックスはこの取引で受け取った代金で、50億ドルを株主に追加で支払い、2020年度までに、昨年の150億ドルから200億ドルに引き上げて還元したい意向です。 ティーバナ、最上棚へ
シアトルズベスト (Seattle’s Best Coffee)とティーバナ(Teavana)にとっては、このような提携は好都合です。ティーバナの広報によると、スターバックスはティーバッグ事業を今年中に開始する計画を発表したが、実現に至りませんでした。ネスレはティーバッグを提供しておらず、インスタントティー離れの傾向にある事を考慮に入れると、高級ブランドとしてティーバナを採用する可能性が高いといえます。ティーバナはアンハイザー・ブッシュ・インヘブ(Anheuser Busch InBev)と契約を結び、5つの州でボトル入りのプレミアムティーが発売されて以来、大幅な成長を遂げ、現在は全国で販売されています。また同社は新たに2つのフレーバーをプレミアムラインアップに加えました。ネスレの提携による影響はない見込みです。 スターバックスは現在、58カ国で家庭用パック入りの商品を提供し、ティーバナの流通は店舗外で大幅に限定されています。またネスレは190カ国で事業を展開し、同社製品は中間階級の富の指標と見なされています。 スターバックスのケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は「世界的なコーヒー事業での提携によって、ネスレの事業範囲や知名度を通じてスターバックスの体験を世界のより多くの家庭に届けることになるでしょう。この歴史的な取引は、変化する消費者のニーズに対応するために、事業を集中し進化させるための継続的な取り組みの一環であり、価値観を共有する企業と協力することを誇りに思います。」とコメントしました。 この提携により、スターバックスは調達、焙煎、グローバルブランド管理を行い、両者はイノベーションと市場参入戦略において綿密に連携していくとしています。2017年に16億ドルを売り上げたティーバナは、流通の拡大により、これまで限られた食料品店や外食業で取り扱われる米国ブランドという立場から、世界のブランドに飛躍することが可能です。スターバックスはティーバナの売上高について2年間で30億ドルに増加すると見込んでいます。 原題:Nestle-Starbucks Alliance Brings Mutual Benefits (抜粋) スイスの食品大手ネスレが、米大手コーヒーチェーン、スターバックスの小売商品を世界的に販売へ シアトルに拠点を置くスターバックスは「ネスプレッソ」や「ドルチェグスト」を所有するスイスの食品大手ネスレと70億ドルで契約し、家庭用パック入りコーヒーやポーションコーヒー、紅茶などの小売商品の販売において世界的な拡大を目指します。 ネスレはスターバックスに、小売商品の販売権の取得に現金71億5000万ドル(約7800億円)を支払います。契約に含まれるブランドは、スターバックス、シアトルズベストコーヒー、スターバックスリザーブ、ティーバナ、スターバックスヴィア、トレファツィオーネ・イタリア。 契約の手続きは10月までに完了する見込みです。この契約によりネスレのカプセル式マシン「ネスプレッソ」と「ドルチェグスト」にスターバックスのフレーバーが加わることになります。 スターバックスの最高経営責任者(CEO)ケビン・ジョンソンは、ネスレの事業範囲や知名度を通じて、わが社のブランドが世界の食品流通のいたるところに広がることになるでしょう。この合意は大きな成長の扉を開きます。」とコメントしました。 ネスレのマーク・シュナイダーCEOは「この取引は我々の最大の成長部門であるコーヒー事業にとって成功の鍵になります。『スターバックス』『ネスカフェ』『ネスプレッソ』という3つの世界の象徴的なコーヒーブランドが結集しました。今日は世界中のコーヒー愛好家にとって素晴らしい一日です。」と声明を発表しました。 この契約には、スターバックスの店舗内で扱う飲料製品の販売は含まれていません。これらの飲料製品の小売ビジネスは20億ドル以上にまで成長し、ペプシ社は現在もその流通を行っています。 約500人のスターバックス社員がネスレに移行し、事業は引き続きシアトルで行われます。 原題:Starbucks Expands Retail Reach in $7B Deal with Nestlé (抜粋) |
溝呂木 賢ナチュラル・プロダクト専門ビジネスコンサルタント、 Archives
September 2018
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